2020年6月30日火曜日

Glen Dee (グレン ディー)

ラズベリー

起源:The James Hutton Institut、スコットランド、UK (MRS 00123A5 x MRS 0019B11)

パテント:EU PBR 49182 (2018年登録)、USPP27660 (2017年登録) など

草姿:直立から半直立、背が高い(最大2.5m)
トゲ:なし

収穫期:一季成り (下はスコットランド Dundee の場合)
 フロリケーン:極晩生 (8月末~)
 プリモケーン:なし

果実 (パテント情報)
 色:真っ赤 (Bright red)
 大きさと形:極大 (長さ2.7cm、直径2.5cm、重さ5.8g (平均値))、広い円錐形
 味と香り:風味は良い、Brix 10.5
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:?


2004年交配、2006年選抜。

Glenシリーズでおなじみのトゲなし極晩生品種である。
'Octavia' よりもさらに収穫期が遅い。
プリモケーンとフロリケーンの間のギャップを埋めることが期待できる。

'Glen Ample' よりも果実が円錐形で美しく、大きく、糖度も高く、収量も多い。

アブラムシと RBDV に耐性を持ち、root rot にもある程度の耐性がある。

最新品種のひとつで、試験データが販売業者のものしか見つからない。
当然いいデータしか書いてない。
だが極晩生というアドバンテージはかなり強いものと思える。

さて、日本で栽培した場合はどうなるのだろうか?
梅雨時を回避できたとしても暑さに耐えられるかどうかが問題だ。


2020年6月28日日曜日

Cascade Premier (カスケード プレミア) / WSU 2166

ラズベリー

起源:ワシントン州立大学、USA (WSU1447 x WSU0697)

パテント:USPP30980 (2019年登録)

草姿:立性
トゲ:あり、長さ1.6mm

収穫期:一季成り
 フロリケーン:中早生
 プリモケーン:なし

果実
 色:赤色
 大きさと形:大 (長さ2.64cm x 幅2.10cm 重さ4.6g)、長い円錐形
 味と香り:Brix 8.2、クエン酸2.00%、excellent flavor (育種者談)
 硬さ:'Meeker' や 'Willamette' より硬い

Hardiness Zones:不明


2007年交配、2010年選抜、2018年リリース。

root rot に強い機械収穫に向いたワシントン州立大学の品種。
ファンタジーレッド®こと 'Cascade Dilight' のムーア博士の最新品種である

機械収穫向けの品種ということで比較品種は 'Meeker' と 'Willamette' である。
パテント情報でデータが乗っていたので表を抜粋しておく。

品種
Brix
pH
クエン酸(%)
アントシアニン量
Meeker
Willamette
Cascade Premier
9.3
8.0
8.2
3.54
3.34
3.31
1.40
1.83
2.00
57
95
52

何だかパッとしない・・・
古い二つの品種よりも酸味が強く感じられるようだ。
'Willamette' より酸っぱいのはどうなのだろう。

'Meeker' よりも果実は大きくて長い円錐形のため見栄えがする。
収量は 'Willamette' とほぼ同等。

root rot が発生している土地で育種および試験されたらしい。
なるほど病気には強そうだ。


収穫量、風味、果実の硬さ、機械収穫が可能、これら全てを備えた 'Meeker' はやはり偉大な品種である。
そこにさらに root rot 耐性を付けて、おまけに果実を大きくした感じの品種、というところだろう。
未だに圧倒的なシェアを誇る 'Meeker' だが、今度こそこれに代わる品種となりえるか。

しかしまぁ、趣味栽培者としてはいまいち魅力に欠ける品種に思える。


2020年6月27日土曜日

Versailles (ベルサイユ)

ラズベリー

起源:Marionnet SAS、フランス ('P 22' x 'Glen Lyon')

パテント:EU PBR 43224 (2016年登録)、フランス NLI 4053747 (2017年登録) など

草姿:直立
トゲ:なし

収穫期:二季成り
 フロリケーン:不明 ('Polka' と同時期)
 プリモケーン:中早生 ('Polka' より7~10日遅い)

果実
 色:光沢のある鮮やかな赤色
 大きさと形:極大 (重さ平均5~6g)、広い円錐形、'Tulameen' に似ている
 味と香り:甘酸のバランスの取れた味わい
 硬さ:柔らかい~中。'Polka' より硬い?

Hardiness Zones:不明


2007年交配、2009年選抜。

フランスのトゲなしの二季成り品種。
一番果は10gを超えるらしい。

2012~2013年の試験栽培では Brix値 が 9.2 だった。
比較用の 'Polka' は 8.3。
Eating quality score は 6.5。ちなみに 5 で excellent らしい。どゆこと?

収量や果実品質は全てにおいて 'Polka' を上回る。

以上、Meiosis社の品種紹介より。
まぁ、いいことばかり書いてある。そりゃそうだ。

果実が柔らかいという情報があるのがちょっと気になるところ。

最新品種なので、まだまだ現場のデータがでてこない。
耐病性なども報告がない。
しかしトゲなしで極大果、二季成りで収量も悪くないとなれば、
趣味栽培向けとしても、かなり有望な品種なのではないだろうか。


2020年6月25日木曜日

APF-122 / Mary Carmen® (メアリー カルメン)

ブラックベリー

起源:アーカンソー大学、アーカンソー州、USA ('APF-45' x 'A-2286')

パテント:USPP27401 (2016年登録)、PVP出願中 出願番号 第33289号 (2018年出願) など

草姿:立性、平均1.1m
トゲ:あり、長さ0.9cm、密度3本/cm2

収穫期:二季成り (下はカリフォルニア州の場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:早生 (8月~10月)

果実
 色:光沢のある黒色
 大きさと形:中 ( 長さ2.8cm、幅2.1cm、重さ5.8g )、丸い
 味と香り:高レベルの可溶性固形物を含んでいる、Brix 平均 11.1
 硬さ:非常に硬い (Very Firm)

Hardiness Zones:?


2003年交配、2005年選抜。

アーカンソー大学のジョンクラーク博士が育種したブラックベリー。
果実を冷蔵保管しても赤く戻らない特性を持つ。
また 5℃で 7日間保管後も腐敗はほとんどみられなかった。

プリモケーンは 75cm ぐらいに成長したら花芽が発生して、それ以上の伸びは緩やかになる。
パテント情報では平均 1.1m 程にしかならないそうだ。つまり摘心を必要としない。
しかしフロリケーンの収穫はほとんど期待できないらしい。

果実は、まだ赤から黒へと移行段階から高レベルの可溶性固形物を含んでいる (high soluble solids)。
これは Brix のことだろう。だよね?
ただし酸味が抜けるのは黒くなってからだろう。多分。

面白そうな品種ではあるのだが海外のショップでも見かけることはほとんどない。
残念ながらあまり広まってないようだ。
日本で品種登録が出願されているようなので、もしかしたら日本での販売があるのかもしれない。
いや、ないかなー。'シャーロンズ デライト' あるしなー。


2020年6月24日水曜日

Evita (エビタ)

ラズベリー

起源:Sant'Orsola農業協同組合、イタリア ( ‘Dolomia’ × ‘Erika’)

パテント:EU PBR 43214 (2016年登録)、USPP25695 (2015年登録)
PVP出願中 出願番号 第33105号 (2018年出願) など

草姿:半直立 (semi eretta)、平均1.78m
トゲ:長さ3.5~4mm、密度平均 1.3/cm

収穫期:二季成り (下はイタリア Sant'Orsola の場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:8月下~10月 ('Erika' より7日早い)

果実 (パテント情報)
 色:光沢のある赤みを帯びたオレンジ (Moderate Reddish Orange)
 大きさと形:大 (長さ 2.9cm、幅 2.4cm、重さ 6.61g)、円錐形
 味と香り:味は良好 (Il sapore è buono)、Brix 7.5
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:不明 (Sant'Orsola は多分 8 )


2007年交配、2009年選抜、2012年発表。

イタリアのサントルセラ農業協同組合が育種した二季成り品種。
'Amaranta' と違ってアメリカのパテントもとってある。おかげで詳細が解った。
主としてプリモケーン収穫用である。

果実は大きく平均6g以上。・・・ホンマかいな
ただし Brix値は低くパテント情報で 7.5。高い方の資料でも 8.72 である。
日本みたいに糖度は重視していないのだろう。

'Erika' と比べて20%ほど収量が多い。
ケーンあたりの結実側枝は20~25。

灰色カビ病やうどんこ病に強い。


2018年に日本でも品種登録申請がされている品種である。
もしかしたら、日本で苗木が販売されることがあるかもしれない。
大きさはロマンだ。


2020年6月23日火曜日

Amaranta (アマランタ)

ラズベリー

起源:Sant'Orsola農業協同組合、イタリア

パテント:EU PBR 43215 (2016年登録)、PVP出願中 出願番号 第33104号 (2018年出願) など

草姿:半直立 (semi eretta)
トゲ:不明

収穫期:二季成り (下はイタリア Sant'Orsolaの場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:不明 ('Erika' より5日早い)

果実
 色:赤色 (rosso medio)
 大きさと形:大 (重さ平均 5.59g)、細長い円錐形
 味と香り:風味抜群 (Il sapore è eccellente)、Brix 9.60
 硬さ:硬い?

Hardiness Zones:不明 (Sant'Orsola は 8? )


2012年発表。

イタリアのサントルセラ農業協同組合が育種した二季成り品種。
植物の構造はシンプルで迅速な収穫を可能にするらしい。素朴さってなんだ?
多分、側枝が少ないとかそういうカンジのものだろう。
そのためか、'Erika' よりも収量は少ないようだ。

イタリア語のざっくりとした説明しか見つからないのでよくわからないところも多い。
しかし果実の大きさとBrix値は悪くない。
風味も抜群らしいし。

2018年に日本でも品種登録申請がされている品種である。
日本で苗木が販売される可能性は・・・あるかなぁ?


2020年6月20日土曜日

Erika (エリカ)

ラズベリー

起源:トレンティーノ、イタリア ('Autumn Bliss' のオープン実生)

パテント:EU PBR 30127 (2011年登録)、USPP20841 (2010年登録) など

草姿:半直立、1.8~2.0m
トゲ:短い、密度が高い (5~6本/cm)

収穫期:二季成り
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:早生? (9月中~10月下、'Polka' より8日早い)

果実
 色:明るい赤色
 大きさと形:大 (長さ2.3cm、幅2.2cm、重さ4.85g)、長い円錐形
 味と香り:Brix 6.27、風味はよい~素晴らしい (good to excellent flavor)
 硬さ:中程度 (medium firm)

Hardiness Zones:不明


2002年交配。

イタリアの二季成り品種。
'Autumn Bliss' のオープン実生の品種である(花粉親が判らない自然交配)。
オープン実生って夢があるよね。

収量は 'Polka' より20~30%高いとされている。
だがいくらなんでもBrix値が低すぎるような気がする。
パテント情報で 6.27 である。もっといいデータをですね。。。
糖度は重視していないようだ。

ミシガン州立大学で2012年に行われたラズベリー13種の味覚テストでは、
5段階中 'Erika' は 2.2 だった。13品種中12位である。(ノ∀`)アチャー
ちなみにこのとき1位だったのは 'Nantahala' で、3.8 だった。
(大関ナーセリーの「ナンタヘーラ」の紹介文のやつ)

オンタリオ州での2013年の試験では風味は good to excellent となっている。
また収穫後の色の変化がなく明るい赤色で外観はとても良かった。

果実は長い円錐形で、写真を見る限りではとても美しい。
見た目よく収量も多いため商業用としてはよいのかもしれない。


2020年6月19日金曜日

Caroline (キャロライン)

ラズベリー

起源:メリーランド大学、メリーランド州、USA (('Autumn Bliss' × 'Glen Moy') x 'Heritage')

パテント:USPP10412 (1998年登録、2016年失効)

草姿:立性、樹勢が強い、サッカーがとても多い
トゲ:とても多い、節ごとに20~50

収穫期:二季成り
 フロリケーン:中生?
 プリモケーン:中早生

果実
 色:赤色 (medium red)
 大きさと形:中~大 (2.67g、ユタ州)、暖かい気候で大きくなる
 味と香り:風味はよい~素晴らしい (good ~ excellent flavor)
 硬さ:中 (暖かい気候で引き締まる)

Hardiness Zones:4-7


1989年交配。

'Heritage' に比べて果実が大きく収量が多い品種。2倍ぐらい収量がある。
温暖な気候で果実は大きく、引き締まり、風味もよくなるという。

ミシガン州立大学の2011~2012年の食味試験では13品種の中でトップクラスの評価を得た (ゾーン5b)。
2017年の品種紹介でも最新品種と並べて良い紹介をされている。
マサチューセッツ大学アマースト校も excellent flavor としている。
しかしユタ州立大学の2008年と2010年の食味試験では10品種中最下位だった (ゾーン7a)。
ユタ州立大学は酸味が強い傾向があるとしている。

とても多くのケーンを発生させるため鉢栽培には向いていない。

ラズベリーの中では root rot に最も強い部類の品種といわれている。
また灰色カビ病の影響を受けにくい。


パテントが切れていることもあって、たまにヤフオクで出品される品種である。
先月も出品されていたので何となく入札したら落札できてしまった。
なので改めて調べてみたというわけである。
果実品質の評判は (ユタ州立大学のデータを除けば) 全体的に高いようだ。高いと信じたい。
温暖な気候云々は日本の気候だと当てにならないと思う。
トゲは苗の段階では細かいのが多く感じる。エゾイチゴ(野生種)と同じぐらい。
鉢植えに向いてないとしているが、そもそもケーンは間引くものと考えているので問題ない、といいなぁ。
トゲありラズベリーは鉢植えじゃないと将来が怖いんだよね・・・


2020年6月18日木曜日

Diamond Jubilee (ダイヤモンド ジュビリー)

ラズベリー

起源:BerryWorld、UK (NY319 x 'Graton Gold')

パテント:USPP25455 (2015登録)、カナダ PBR 16-9015 (2016年出願)、
PVP出願中 出願番号 第33949号 (2019年出願) など

草姿:立性
トゲ:中密度、極短~短い

収穫期:二季成り (涼しい地域の場合)
 フロリケーン:早生 6月中~7月下
 プリモケーン:中生 8月上~9月

果実 (パテント情報)
 色:赤色、光沢は中~強い、'Driscoll Maravilla' よりも明るい
 大きさと形:大 (長さ2.9cm x 幅2.7cm 重さ6.8~9.2g)、広い円錐形
 味と香り:Brix 9.2、酸は低い
 硬さ:とても硬い (very firm)

Hardiness Zones:不明


2009年選抜、2013年発表。

小売店で購入した果実から採られたタネから選抜された品種。
そんなんでいいのか BerryWorld社。
購入された品種はおそらく 'Driscoll Maravilla' ではないかといわれている。

'Driscoll Maravilla' よりも果実が大きく、甘く、保存期間が長い。
しかしデータはパテント情報しか無い。ちょっとデータ盛りすぎじゃないかなと思う。

BerryWorld社が自社グループで生産している品種なので苗木も売っていない。
一応、日本の品種登録にも出願されているが、おそらく苗木の販売は無いだろう。

しかし購入した果実から育種するとは、ちょっと夢が拡がる話である。


2020年6月17日水曜日

Glen Coe (グレン コー)

ラズベリー

起源:SCRI、スコットランド、UK ('Glen Prosen' x SCRI 7751C4)

パテント:なし

草姿:半立性
トゲ:なし

収穫期:一季成り (下はイギリスの場合)
 フロリケーン:中生 6月~7月
 プリモケーン:なし

果実
 色:ビロードのような紫色 (ブルームがある?)
 大きさと形:中、丸い
 味と香り:風味は独特で強い
 硬さ:不明

Hardiness Zones:?


1988年リリース。

イギリスのトゲなし紫ラズベリー。
父方の SCRI 7751C4 はトゲのない黒ラズベリーだそうだ。そっちもリリースしてくれ。

赤ラズベリーのように地下茎であちこちにサッカーが生えてくるのではなく、
根元からケーンが伸びるタイプ。半直立した低木のようになる。
黒ラズベリーの血が濃いからだろう。

イギリスの多くのナーセリーが取り扱っている。
しかしアメリカのナーセリーではほとんど見かけない。'Royality' があるからだろうか?

残念ながら公的機関のデータが見つからない。
仕方がないので上のデータは色んなナーセリーの謳い文句の寄せ集めである。


日本で販売されている 「グレンコー」は商品写真を見ると果実が赤い。別の品種か?
もしイギリスから輸入するとしたら、候補に入れておきたい品種だ。
独特の風味というものを是非味わってみたい。


2020年6月16日火曜日

Advaberimar (アドバベリマー) / Imara® (イマラ)

ラズベリー

起源:Advanced Berry Breeding、オランダ (207102-24 × 207003)

パテント:EU PBR 40335 (2011年登録) / USPP23916 (2013年登録) / USRE46031 (2016年再登録) など

草姿:立性 (高さ180~200cm、幅40cm)
トゲ:おおよそ5本/cm、長さ2mm

収穫期:二季成り (下はミシガン州の場合)
 フロリケーン:早生 6月中~7月中
 プリモケーン:早生 9月上~10月中 ('Polka' の7日後から)

果実
 色:光沢のある赤色
 大きさと形:極大 (長さ2~2.5cm x 幅2cm)(重さ約3.6g)、広い円錐形
 味と香り:風味は素晴らしい (excellent flavor)
 硬さ:とても硬い

Hardiness Zones:?


2005年交配、2006年選抜。

オランダの Advanced Berry Breeding が 'Kwanza'、'Kweli' と共に作り出した品種のひとつ。
商標名の imara はスワヒリ語で「強い」という意味。

収量が非常に多いという特徴をもつ品種。花芽をもつ側枝が枝の全長に渡って発達する。
特にプリモケーンの収量は 2kg/株近くになる。
ミシガン州の試験でも約1.7kg/株を 2年連続で記録している。
'Nantahala' の2~3倍である。
別の試験では鉢栽培で 2年連続 2.5kg/株以上である。

果実の品質は 'Kwanza'、'Kweli' 同様、大きく、風味がよく、日持ちもよい。
ただし温かい環境では収穫後、果実の色が暗くなってしまう。

灰色カビ病が中程度みられる。

'Kwanza'、'Kweli' と共に世界で今注目を集めている次世代のラズベリーである。
Advanced Berry Breedingでは、収量が必要なときに選択する品種との説明。
商業向けにはとても良い品種なのではないだろうか。


2020年6月15日月曜日

Advabereen (アドバベリーン) / Kweli® (クウェリ)

ラズベリー

起源:Advanced Berry Breeding、オランダ (207005 × 207126)

パテント:EU PBR 40334 (2011年登録) / USPP23915 (2013年登録) / USRE46041 (2016年再登録) など

草姿:立性、コンパクト (高さ180~200cm、幅40cm)、側枝が多い(7~8本)
トゲ:おおよそ5本/cm、長さ1mm

収穫期:二季成り (下はミシガン州の場合)
 フロリケーン:早生 6月下~7月中
 プリモケーン:中生 9月上~10月下 ('Polka' の5日後から、霜が降りるまで?)

果実
 色:光沢のある赤色
 大きさと形:大~極大 (長さ2.5cm x 幅2.3~2.5cm)(重さ3.6~3.8g)、広い円錐形
 味と香り:風味は素晴らしい (excellent flavor)
 硬さ:とても硬い

Hardiness Zones:?


2005年交配、2006年選抜。

オランダの Advanced Berry Breeding が 'Kwanza'、'Imara' と共に作り出した品種のひとつ。
商標名の kweli はスワヒリ語で「真実」という意味。

フロリケーンとプリモケーンの両方共収量が多く、大きな果実と貯蔵期間が長いことが特徴の品種。
果実は収穫後、最大10日間も品質を保ち、色も暗くなりにくい。

ミシガン州ので試験でもフロリケーン、プリモケーン両方の収量が多かった。
'Nantahala' の2倍ぐらい採れる。
果実の品質などは 'Kwanza' や 'Imara' と共に高い評価を受けている。

また、この品種は高温にも強く乾燥熱帯気候でも栽培されているようだ。

'Kwanza'、'Imara' と共に世界で今注目を集めている次世代のラズベリーである。
暑さに強いというが、湿度が高い日本の気候はどうなんだろうか。


2020年6月14日日曜日

Advabertwee (アドバベルトウィー) / Kwanza® (クワンザ)

ラズベリー

起源:Advanced Berry Breeding、オランダ (207157-12 × 207015)

パテント:EU PBR 40336 (2011年登録) / USPP23914 (2013年登録) / USRE46030 (2016年再登録) など

草姿:立性、コンパクト (高さ180~200cm、幅40cm)、葉が大きい
トゲ:まばら (おおよそ2本/cm)、長さ2mm

収穫期:二季成り (下はミシガン州の場合)
 フロリケーン:早生 6月下~7月下
 プリモケーン:晩生 9月上~11月上 ('Polka' の10日後から、霜が降りるまで?)

果実
 色:光沢のある明るいオレンジレッド
 大きさと形:極大 (長さ2.3~2.6cm x 幅2.0~2.2cm)(重さ4.1~4.2g)、広い円錐形
 味と香り:風味はとても良い (very good)
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:?


2005年交配、2006年選抜。

オランダの Advanced Berry Breeding が 'Imara'、'Kweli' と共に作り出した品種のひとつ。
商標名の kwanza はスワヒリ語で「一番目」という意味。

晩生の非常に大きな明るい色の果実ができる品種である。
パテント情報では、なんと平均 7g だそうだ。'Crimson Giant' よりも大きい。
また果実は収穫してから11日間も保存できるらしい。

実際にミシガン州での試験では優れた果実品質と貯蔵能力が確認された。
フロリケーンとプリモケーンでの果実品質がほとんど変わらない。
収量も総合的に 'Nantahala' より多い。
また別の試験では果実は平均 4.2g (フロリケーン)、4.1g (プリモケーン) だった。
十分大きい。が、やはりパテント情報は当てにならないな。


'Imara'、'Kweli' と共に世界で今注目を集めている次世代のラズベリーである。
3つの中では趣味栽培に一番向いてそうな気がする。大きさはロマンだ。
ミシガン州立大学の果実の写真を見ると、明るくて大きい果実はとても美味しそうに見える。
なんか契約とか厳しそうで輸入はハードルが高そうなのがネックだ。


2020年6月13日土曜日

Polka (ポルカ)

ラズベリー

起源:ブジェスナ果樹試験場、ポーランド (オープン実生 × 'Autumn Bliss' )

パテント:ポーランド PBR S98 (2003年登録)、EU PBR 14918 (2005年登録) など

草姿:立性、樹勢はやや強い
トゲ:あり (少ない?)、非常に短い

収穫期:二季成り
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:早生 ('Polana' の1週間後)

果実
 色:光沢のある赤色
 大きさと形:中~大、円錐形、肉厚、小核果のサイズが揃っている
 味と香り:マイルドだが風味は優れている
 硬さ:とても硬い

Hardiness Zones:4-8


ポーランドの二季成り品種。
'Polana' よりも新しい品種である。

ポーランドのスキエルニエビツェ (ゾーン6) での試験では、果実重4.1g、Brix 11.3 。
'Polana' よりも大きく甘い。酸は同程度。
ユタ州立大学 (ゾーン6a) の試験では2.6gだった。ただし収量が安定して多く、果実の評価も10品種中2位だった。
1位は ’Anne’ だったので赤ラズベリーでは実質1位である。

root rot への感受性は低く、灰色カビ病に強い抵抗性がある。
しかしRDBVには影響を受けやすい。


'Polana' よりも果実の品質が全般的に高く、しかも収量が多い。
さらに灰色カビ病に強い。これは日本の趣味栽培にはすごく魅力的だ。
トゲの情報が殆どないのが気になるところ。
ナーセリーの売り文句は当てにならないことが多いが、トゲは少ないとの情報もある。


2020年6月12日金曜日

Rubus lambertianus (シマバライチゴ)

キイチゴ属野生種

別名:(島原苺)、酢イチゴ

自生地:長崎県、熊本県、台湾、中国南部

草姿:落葉~常緑、枝はつる性、草丈1~2m
トゲ:鉤形のトゲがまばら

花:10~11月、小さな白い花、円錐形の花序を頂生し多数の花をつける
果実:12月、暗赤色、球形、小さい(径約9mm)、酸味が強い



果実がブドウの房状に実るキイチゴで、国の絶滅危惧Ⅱ類に指定される希少種である。
ヤフオクでよく出品されている。

フユイチゴの仲間 (フユイチゴ節) で、冬に果実が実る。
フロリケーンの先端付近に円錐形の複合花序を作り、多数(30~100?)の花をつける。
果序は湾曲した枝の先から下垂してブドウの房のように果実を実らせる。
しかし果実はかなり酸味が強く生食には向かない。残念だ・・・
ネット上の評判では、Brixは10程度まで上がるがレモンのように酸味が勝つという。

キイチゴ属の多くは地上茎が開花結実後2年で枯れるが、本種は根元から1~2mが生き残る(太い枝の場合か?)。
そこからまた枝を伸ばして翌年も開花結実するらしい。
枝はつる状に数m伸びる。5mとの情報も。
ブラックベリーと同じで枝の先端部が地上に着くとそこで発根。新たな株となる。
枝の管理をしっかりしないと一面シマバライチゴ畑になりそうだ。

おそらくだが、ある程度の大株になってからじゃないと開花しないだろう。
このような大量の花と果実をつくるには株の体力が相当量必要だと思われるからだ。
鉢栽培なら大鉢が必要だろう。


酸味が強すぎるのが残念だが、なんといってもブドウの房のように果実がなっている姿はインパクトがある。
これとラズベリーを掛け合わせて、とロマンを抱かざるを得ない。


Niwot (ニオット)

ラズベリー

起源:Peter H. Tallman、コロラド州、USA (NY319 x 'Graton Gold')

パテント:USPP27131 (2014年登録)

草姿:半直立、160~230cm
トゲ:多い、茎50cm付近で2本/cm、先端の花序では3.2本/cm、長さ3mm程、

収穫期:二季成り (下はコロラド州の場合)
 フロリケーン:6月上~7月下、'Jewel' より1~2週間早い
 プリモケーン:9月上~10月中 (霜が降りるまで?)

果実
 色:黒
 大きさと形:中~大、プリモケーンの果実の方が大きい、丸い
 味と香り:風味は 'Jewel' より弱い
 硬さ:柔らかい?

Hardiness Zones:5-8


1998年交配、2006年選抜、。
アマチュアの育種家が作り出した高品質の二季成りブラックラズベリーである。
品種名は育種家の近所の村の名前。
10月に熟す野生の黒ラズベリーの発見から育種が始まったそうだ。
夢がある話である。クサイチゴとかもそういうのないかな?

プリモケーンの果実の方が大きいようだ。
育種家の庭ではプリモケーンで平均で 3.1g、最大で 3.9g の年もあったようだ。
黒ラズベリーにしてはかなり大きい。同じ年のフロリケーンは平均 2g だった。
しかしニューヨーク州のでの試験ではプリモケーンは 2.0g、フロリケーンで 1.9g だった。
まぁそういうものだと思おう。

耐病性はあまり報告されていないが、うどんこ病に罹りやすいとの情報がある。


面白い品種ではある。これでトゲさえなければ・・・
もしブラックラズベリーを輸入するとなると第一候補に挙がるだろう。


2020年6月10日水曜日

BP1

ラズベリー

起源: Berry Plant Company、イタリア ('Polka' × 'Tulameen')

パテント:USPP22459 (2012年登録)、EU PBR 37717 (2014年登録) など

草姿:立性~開帳性、草丈170-180cm、草幅80-90cm
トゲ:中密度、比較的硬く下向き

収穫期:二季成り (下はイタリアのベローナ(ゾーン8)の場合)
 フロリケーン:中生 6月
 プリモケーン:早生 8月中~10月

果実
 色:赤色
 大きさと形:大~極大 (長さ2.9cm x 幅2.6cm 重さ5g)、円錐形
 味と香り:風味は 'Tulameen' に似ている (excellent flavor)
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:4-8


2007年選抜。

'Tulameen' をプリモケーン収穫用にしたようなイタリアの品種。
'Tulameen' 同様に果実が果床から外れやすい。
二季成りだがフロリケーンの収量は期待できない。

ノースダコタ州(ゾーン4)の試験栽培では果実重 3.1g、Brix12.5 は 9品種中 1位だった。素晴らしい。
逆にミシガン州(ゾーン6)の試験では、果実は小さくやや軟らかくてカビが生えやすい、と散々な結果となっている。
ノースダコタ州の試験は地植え、ミシガン州の試験は 3ガロンポット(9号菊鉢ぐらい?) での栽培なので、その辺が試験結果に繋がっているのかもしれない。

両極端なデータがあるのは評価に困る。
品種が育成されたのはゾーン8の地域だから暑さに弱いということはないと思うが。
両親とも良い品種なのでプリモケーンを中心に収穫するスタイルならそんなに悪くない品種ではないだろうか。


2020年6月9日火曜日

Royalty (ロイヤリティ)

ラズベリー

起源:コーネル大学、ニューヨーク州、USA (('Cumberland' x 'Newburgh') x ('Newburgh' x 'Indian Summer'))

パテント:USPP5405 (1982年) (2002年失効)

草姿:直立、樹勢が強い、150~240cm、太さ9~21mm
トゲ:多い

収穫期:一季成り
 フロリケーン:晩生
 プリモケーン:なし

果実
 色:鈍い紫 (Dull purple)
 大きさと形:大 (重さ3.2g)、円錐形
 味と香り:風味は良い (good flavor)
 硬さ:柔らかい

Hardiness Zones:4-8


1954年交配、1957年選抜、1982年リリース。
25年も何してたの…

晩生の紫ラズベリー。黒ラズベリーの 'Cumberland' の血が1/4入っている。
我らが 'Indian Summer' の血も1/4入っているぞ。だから柔らかいのか?
紫ラズベリーの中では一番甘い果実が採れるとの宣伝文句がある。

ノースダコタ州の試験では重さ平均 3.62g、Brix 10.3 を記録した。
風味が赤ラズベリーと違うので単純に比較は出来ないだろう。

果実は柔らかいので輸送には向いていない。
近場の生鮮市場や摘み取り園向けである。加工用としてもよい。

黒ラズベリー譲りの樹勢の強さだが、黒とは違って地下茎からサッカーがでる。

アブラムシに耐性を持つが、クラウンゴール (こぶ状の塊を生じる病気) に罹りやすい。


紫ラズベリーは風味が気になるけどトゲがなぁ…
選べるのだったら 'Glen Coe' の方がいいかなぁ。新しいし、トゲないし。


Mac Black (マック ブラック)

ラズベリー

起源:不明、ミネソタ州、USA、2000年?

パテント:なし

草姿:立性、樹勢は強く丈夫
トゲ:あり

収穫期:一季成り
 フロリケーン:晩生
 プリモケーン:なし

果実
 色:黒 (poor color for black)
 大きさと形:中~大 (ブラックラズベリーにしては)
 味と香り:風味は良い (good~very good)
 硬さ:中程度~とても硬い

Hardiness Zones:5-8


晩生のブラックラズベリーの品種である。
匿名のブリーダーの作らしく、中々正体不明の品種だ。
Macさんが選抜したのだろうか?
遺伝子的には 'Black Knight' という品種と近いそうで、野生種の選抜ではないようだ。

ノースダコタ州の試験栽培ではBrix 10.8、果実の大きさは 1.9g だった。
ブラックラズベリーにしては大きい。

オハイオ州では商業生産もされているらしい。


2020年6月8日月曜日

Encore (アンコール)

ラズベリー

起源:コーネル大学、ニューヨーク州、USA ('Canby' x 'Cherokee')

パテント:USPP11746 (2001年登録)

草姿:立性
トゲ:ほとんど無い

収穫期:一季成り (下はニューヨーク州の場合)
 フロリケーン:中晩生 6月下~7月下
 プリモケーン:なし

果実
 色:赤色
 大きさと形:中~大 (長さ3cm x 幅2.5cm 重さ2.9g)、円錐形
 味と香り:とても良い甘い風味がある (very good, sweet flavor)
 硬さ:不明

Hardiness Zones:4-7


1976年交配、1980年選抜、1998年リリース。
1977年から長年フィールドテストされてきた品種。
何故リリースまで20年以上かかったんだろう・・・

1995~1997年の試験栽培ではBrixは9.9。酸含有量は1.55%。
長年に渡るテストのおかげか生産性は抜群の安定度があるらしい。

しかし果実に日焼け (white drupelet) が起きやすい。
また、root rot に中程度の抵抗性があるが、火傷病の影響を受けやすい。


晩生のほぼトゲなし品種だが、2020年の今みると何だかぱっとしない品種にみえる。
日焼けが起きやすいということもひっかかるところだ。
梅雨の晴れ間の日差しは強烈ですよ。


Nova (ノヴァ)

ラズベリー

起源:ノバスコシア州、カナダ、1981年 ('Southland' x 'Boyne')

パテント:なし

草姿:立性
トゲ:ほとんど無い

収穫期:二季成り?
 フロリケーン:中生 (早生?)
 プリモケーン:晩生

果実
 色:光沢のある濃い赤色
 大きさと形:中、丸っこい、均一な形
 味と香り:風味は良い (good~very good)、やや酸味がある
 硬さ:中程度~硬い

Hardiness Zones:3-8


カナダの品種。
耐寒性も耐暑性もあり、幅広い気候に対応できる品種とのこと。
一季成りかと思いきや二季成りのデータもある。
しかしプリモケーンの収量は少ないようだ。

Brix値はノースダコタの試験栽培では 10.6。
カナダ アカディアでは 9.4。

果実の大きさはノースダコタ州で 1.97g
オンタリオ州の資料では 2.7g
カナダ アカディアで 4.8g
随分幅があるな(笑)


長所は耐候性に優れることとトゲがほとんど無いというところか。
古い品種でもあるし、これを輸入するのだったら新しい品種の方がいいかな。


2020年6月7日日曜日

AAC Eden (AAC エデン)

ラズベリー

起源:PARC、カナダ ('Glen Ample' × K93-11)

パテント:カナダ PBR4567 (2013年登録)

草姿:立性、側枝が長い?、5小葉
トゲ:なし

収穫期:一季成り
 フロリケーン:中生
 プリモケーン:なし

果実
 色:淡い~中程度の赤色、光沢は弱い。
 大きさ:極大(約5g)、'Tulameen' より大きい。円錐形。
 味と香り:バランスのとれた味わい
 硬さ:中

Hardiness Zones:不明


2002年交配、2006年選抜。

カナダで育成されたトゲなし品種。

あまり試験データが見つからないのだが、ネットで見つかる数少ないのがこちら。
google先生が役に立たないのでいまいち要領を得ないが、表の数値から読み取ると以下の通り。

2015年の試験栽培ではBrix値が 9.0。
ただしこの時の試験栽培では最高が 10.5、'Tulameen' で 9.5 だった。
2016年の結果は・・・全ての品種で異様に低いので割愛する。

果実の大きさは 3.3g~7.4g!でかい。

果実の硬さは 5段階評価で 3.1、果皮強さは 3.7。
'Tulameen' と同等である。

そして肝心のflavorは 4.0 である。ちなみに 'Tulameen' は 4.4。

ただし市場に出せる果実の割合が低く約60%。
でも全体の収量が多いので最終的な量は 'Tulameen' と同等になる。

また、果床から果実が外れやすく収穫が簡単。


'Tulameen' と比べても悪くない品種ではなかろうか。
特にトゲなしなのがいいね。
果実の不良率が高いのが気になるが趣味栽培にはあまり関係がないだろう。

果実の光沢が弱いのは生鮮市場ではマイナスになるかもしれない。
Nourse Farm の果実の写真を見るとあんまり美味しそうに見えないんだよね。


2020年6月6日土曜日

Cascade Delight (カスケード ディライト) / WSU 1090 / ファンタジー® レッド

ラズベリー

起源:USDA-ARS、ワシントン大学など、USA、2003年 ('Chilliwack' x WSU994)

パテント:USPP14522 (2004年登録)

草姿:半直立?、樹勢が非常に強い
トゲ:小さい

収穫期:一季成り (下はワシントン州の場合)
 フロリケーン:晩生 (7月)
 プリモケーン:なし

果実
 色:赤色 (bright red)
 大きさと形:極大 (重さ4.9g)、長い円錐形
 味と香り:風味は素晴らしい (excellent flavor)、伝統的なラズベリーの風味
 硬さ:とても硬い (very firm)

Hardiness Zones:6-9


1989年交配、1992年選抜。

タキイ種苗でファンタジー® レッドという商品名で取り扱っている品種。
非常に硬く長い円錐形の美しい果実が採れる。
ただし機械収穫には向かず、手収穫での生果向けである。

果実の大きさはタキイのカタログでは6~10gと謳っているが、
実際に収穫初期に平均8.4gを記録している (10個平均。2001/07/06。ワシントン州、ゾーン8b)。
たしかにイチゴのSサイズぐらいだ。

糖度は10.4で 'Tulameen' や 'Meeker' と有意差は無い。
せっかくなのでリリースノートから表を抜粋して載せておく。
品種
pH
クエン酸(%)
Brix (%)
Cascade Delight
Meeker
Tulameen
Willamette
2.89
3.18
3.00
2.96
1.18
1.05
1.48
1.52
10.4
11.8
11.3
11.4

またユタ州の味覚テストでは 6段階で 4.0 と 'Tulameen' を抑えて 16品種中 1位だった。
(ユタ州ケイズビル、ゾーン7a)

アブラムシやRBDVに感受性があるが、root rot に強い抵抗性をもつ。

'Tulameen' よりも大きくて硬く、収量も多い。
そしてトゲも小さいとなれば、やはり良い品種なのだろう。

しかし、タキイ種苗でのお値段は ¥12,500 (税込) (2020年6月時点)。
うーーん、やっぱりちょっとためらっちゃうお値段だよなぁ。


Killarney (キラーニー)

ラズベリー

起源:マニトバ州、カナダ農務省 1961年 ('Chief' x 'Indian Summer')

パテント:なし

草姿:立性、中 (90~120cm)
トゲ:多い

収穫期:一季成り
 フロリケーン:中早生 ('Boyne' の3日後)
 プリモケーン:なし

果実
 色:明るい赤色~暗い赤色、強い光沢がある。
 大きさと形:中 (重さ2.6g)、丸っこい
 味と香り:風味は良い (good flavor ~ excellent flavor)
 硬さ:軟らかい

Hardiness Zones:4-7


'Boyne' の兄弟品種。よく似ている品種。
耐寒性も高いと思われる。

'Boyne' よりも果実の大きさ、品質が良い。

'Boyne' の記事と同じノースダコタ州の試験栽培ではBrix値は 10.8 で 10品種中 4番目だった。

RBDV に耐性をもち、root rot にもある程度の耐性があるが、
炭疽病や灰色カビ病の影響を受けやすい。

これも耐寒性が売りの品種だ。
よっぽど寒い地域でないなら 'Boyne' よりも総合的にこちらのほうがよいだろう。


耐寒性が必要ない当地ではいまいちパッとしない品種に思える。


Boyne (ボイン)

ラズベリー

起源:マニトバ州、カナダ農務省 1960年 ('Chief' x 'Indian Summer')

パテント:なし

草姿:立性、中 (90-120cm)
トゲ:多い

収穫期:一季成り
 フロリケーン:早生 ('Prelude' よりも3-8日遅い)
 プリモケーン:なし

果実
 色:暗い赤色
 大きさと形:小~中 (重さ1.9g)、丸っこい
 味と香り:風味は良い (good flavor)
 硬さ:中程度 (果皮は軟らかい)

Hardiness Zones:3-7


耐寒性が非常に高い品種。
休眠枝は冬季になんと-36℃にも耐える。
寒冷地向きの品種だ。

収量も悪くないようで、果実は軟らかいが冷凍にも向いている。

ノースダコタ州の試験栽培では Brix は 10.5 で10品種中7番目だった。
ちなみにこの時の1位は 'Meeker' で13.5だった。やるじゃないか 'Meeker'。

root rot と RBDV に耐性があるが、炭疽病と火傷病の感受性が高い。

'Meeker' より古い品種だが、耐寒性が極めて高いことから、
特に寒冷地で栽培が続けられているようだ。


当地はゾーン8なので、正直輸入してまで欲しいとは思わない品種だ。
極寒冷地でラズベリー栽培を考えている人には一考の価値はあるかもしれない。


2020年6月4日木曜日

Iceberg (アイスバーグ) / Snowbank (スノーバンク)

ブラックベリー

起源:Luther Burbank、カリフォルニア州、USA

パテント:なし

草姿:不明
トゲ:あり

収穫期:一季成り
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:なし

果実
 色:半透明な白色
 大きさと形:小
 味と香り:ブラックベリーの風味はする
 硬さ:不明

Hardiness Zones:5-9


1894年選抜、1914~1916年頃リリース。

世にも不思議な「白いブラックベリー」である。なんだコレ。
もはやブラックベリーとはいえない変わり種である。

育種は、世界的に有名な育種家ルーサー・バーバンクである。
野生の白っぽいブラックベリーから交配を繰り返し65,000の苗の中からコレを選び出したとか。
白いというか半透明で外からタネが見えるそうだ。
ちなみにちゃんと自家結実して、そのタネから育った株も白い果実を実らせるらしい。
大御所マジスゲー。
Luther Burbank Home & Gardens では現在もこの品種が育てられている。

気になる味だが、ちゃんと通常のブラックベリーの味がするらしい。
なんかクリーミーとかいう表現をしているナーセリーもある。

なにぶん非常に古い品種であるので試験データなどは見当たらない。
しかしその個性的すぎる「白さ」によって現在まで伝えられている歴史的な品種である。

面白い品種であるので、可能であれば輸入して育ててみたいものである。


2020年6月3日水曜日

Caddo (カドー)

ブラックベリー

起源:アーカンソー大学、アーカンソー州、USA ('APF-45' x 'Ark. 2108')

パテント:申請中

草姿:立性
トゲ:なし

収穫期:一季成り (下はアーカンソー州の場合)
 フロリケーン:中早生から中生 ( 'Osage' より遅く、'Ouachita' より早い)
 プリモケーン:なし

果実
 色:光沢のある黒色
 大きさと形:大 ( 'Osage' や 'Ouachita' より大きい)
 味と香り:風味豊か (flavorful)
 硬さ:硬い (good firmness)

Hardiness Zones:5-9


2019年発表。

アーカンソー大学のジョンクラーク博士が育種したトゲなし品種。
大関ナーセリーで取り扱っているプライムアークシリーズで有名な人である。
品種名はネイティブアメリカンの部族名のようだ。
母親の 'APF-45' は Prime-Ark®45 のことである。

育種の目的は高い果実品質と日持ちを長くして輸送に耐えうること。

果実には風味を高める非常に注目に値する望ましい芳香物質がある。
また、乾期と雨期の収穫期の両方で年々一貫している堅さがある。
その硬い果実は、収穫後7日後でもほとんどの成分が変化しなかった。
そして収穫後14日間まで、その風味と外観を維持することに成功した。


と、リリースノートには書いてあるが、なにぶん最新品種なので他にデータが無い。
真価が問われるのはこれからである。
雨季というか梅雨時に硬い果実が採れるのはいいね。味はどうなるのかわかんないけど。

アーカンソー大学の品種は大関ナーセリーで取り扱いがあるので、
もしかしたら数年後にこの品種も取り扱ってくれるかもしれない。


2020年6月2日火曜日

HARA-Rasp / レッドドリーム / ウルトララズベリー 超大王

ラズベリー(広義)

起源:原俊彦、日本

パテント:PVP出願中 出願番号 第32000号 (2017年出願)

草姿:立性、背が高い(2~3m)、樹勢は最強!
トゲ:まばら、小さい

収穫期:一季成り
 フロリケーン:5月下~6月中
 プリモケーン:なし

果実
 色:暗い赤色?
 大きさと形:大 (約2.5cm)、丸い、クマイチゴに似て小核果の先が尖る
 味と香り:甘い、酸味は少ない
 硬さ:不明

Hardiness Zones:不明


数年前に突如現れた謎のラズベリー(広義) (果床が果実から外れるタイプ)。
中国原産のキイチゴの選抜種らしい。品種登録の植物の種類が違うんですけど。
中国のキイチゴ属は種類が多すぎて流石に種の特定は断念した。378分類て。
まぁ見た感じクマイチゴの近縁種であろう。多分。

ちなみに商品名は「超大王(ちょうだいおう)」であって「超大玉(ちょうおおだま)」ではない。
はい、勘違いしてました。

当然公的データなど無く、このページの情報は全てネットショップによるものである。

直立性で暑さに強く暖地でも栽培容易。
樹勢は最強でグングン育つらしい。3mて。

ラズベリー(狭義)のように地下茎から枝が生えるタイプだと大変なことになるような。
でもどう考えても鉢栽培には向いていない気がする。

ネット上の評判ではあまり良いものを見ない。
果実は大きいのだが、風味にクセがあるようだ。