2020年7月2日木曜日

Advabemap (アドバベマップ) / Mapema® (マペマ)

ラズベリー

起源:Advanced Berry Breeding、オランダ

パテント:EU PBR 40335 (2011年登録) / USPP27812 (2015年登録) など

草姿:立性 (高さ2m、幅50cm)
トゲ:おおよそ5本/cm、長さ1mm、小さい、ほぼトゲなし

収穫期:二季成り (下はオランダ、ロッサムの場合)
 フロリケーン:早生
 プリモケーン:中早生 8月中~10月中 ('Polka' と同時期)

果実
 色:強い光沢のある深赤色
 大きさと形:極大 (長さ3cm x 幅2.3~2.5cm 重さ約5~7g)、円錐形
 味と香り:心地よい、甘い (Pleasant, sweet)
 硬さ:中程度に硬い (medium to firm)

Hardiness Zones:?


2008年選抜。

オランダの Advanced Berry Breeding が作り出した品種のひとつ。
商標名の mapema はスワヒリ語で「早い」という意味。

ほぼトゲなしで美しく長い円錐形の果実を作り出す品種。
'Polka' と比べて収量が1.3倍という販促データもある。
'Kwanza' などと違ってアメリカには上陸したばかりで、よい試験データが見つけられなかった。

生鮮市場向けの品種で 'Kwanza' などと同じ、収穫後に色が暗くなりにくいという特徴をもつ。
2℃で7日間保管後でも品質を保ったままだそうだ。


この品種も 'Kwanza' などと共に世界で注目されている次世代のラズベリーである。
Advanced Berry Breeding の品種はどれも高い果実品質、段違いの収量、そして消費期限が長いという特徴をもつ。
いつか日本にも導入されてほしい。個人輸入難しそうなんだよね。


2020年6月30日火曜日

Glen Dee (グレン ディー)

ラズベリー

起源:The James Hutton Institut、スコットランド、UK (MRS 00123A5 x MRS 0019B11)

パテント:EU PBR 49182 (2018年登録)、USPP27660 (2017年登録) など

草姿:直立から半直立、背が高い(最大2.5m)
トゲ:なし

収穫期:一季成り (下はスコットランド Dundee の場合)
 フロリケーン:極晩生 (8月末~)
 プリモケーン:なし

果実 (パテント情報)
 色:真っ赤 (Bright red)
 大きさと形:極大 (長さ2.7cm、直径2.5cm、重さ5.8g (平均値))、広い円錐形
 味と香り:風味は良い、Brix 10.5
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:?


2004年交配、2006年選抜。

Glenシリーズでおなじみのトゲなし極晩生品種である。
'Octavia' よりもさらに収穫期が遅い。
プリモケーンとフロリケーンの間のギャップを埋めることが期待できる。

'Glen Ample' よりも果実が円錐形で美しく、大きく、糖度も高く、収量も多い。

アブラムシと RBDV に耐性を持ち、root rot にもある程度の耐性がある。

最新品種のひとつで、試験データが販売業者のものしか見つからない。
当然いいデータしか書いてない。
だが極晩生というアドバンテージはかなり強いものと思える。

さて、日本で栽培した場合はどうなるのだろうか?
梅雨時を回避できたとしても暑さに耐えられるかどうかが問題だ。


2020年6月28日日曜日

Cascade Premier (カスケード プレミア) / WSU 2166

ラズベリー

起源:ワシントン州立大学、USA (WSU1447 x WSU0697)

パテント:USPP30980 (2019年登録)

草姿:立性
トゲ:あり、長さ1.6mm

収穫期:一季成り
 フロリケーン:中早生
 プリモケーン:なし

果実
 色:赤色
 大きさと形:大 (長さ2.64cm x 幅2.10cm 重さ4.6g)、長い円錐形
 味と香り:Brix 8.2、クエン酸2.00%、excellent flavor (育種者談)
 硬さ:'Meeker' や 'Willamette' より硬い

Hardiness Zones:不明


2007年交配、2010年選抜、2018年リリース。

root rot に強い機械収穫に向いたワシントン州立大学の品種。
ファンタジーレッド®こと 'Cascade Dilight' のムーア博士の最新品種である

機械収穫向けの品種ということで比較品種は 'Meeker' と 'Willamette' である。
パテント情報でデータが乗っていたので表を抜粋しておく。

品種
Brix
pH
クエン酸(%)
アントシアニン量
Meeker
Willamette
Cascade Premier
9.3
8.0
8.2
3.54
3.34
3.31
1.40
1.83
2.00
57
95
52

何だかパッとしない・・・
古い二つの品種よりも酸味が強く感じられるようだ。
'Willamette' より酸っぱいのはどうなのだろう。

'Meeker' よりも果実は大きくて長い円錐形のため見栄えがする。
収量は 'Willamette' とほぼ同等。

root rot が発生している土地で育種および試験されたらしい。
なるほど病気には強そうだ。


収穫量、風味、果実の硬さ、機械収穫が可能、これら全てを備えた 'Meeker' はやはり偉大な品種である。
そこにさらに root rot 耐性を付けて、おまけに果実を大きくした感じの品種、というところだろう。
未だに圧倒的なシェアを誇る 'Meeker' だが、今度こそこれに代わる品種となりえるか。

しかしまぁ、趣味栽培者としてはいまいち魅力に欠ける品種に思える。


2020年6月27日土曜日

Versailles (ベルサイユ)

ラズベリー

起源:Marionnet SAS、フランス ('P 22' x 'Glen Lyon')

パテント:EU PBR 43224 (2016年登録)、フランス NLI 4053747 (2017年登録) など

草姿:直立
トゲ:なし

収穫期:二季成り
 フロリケーン:不明 ('Polka' と同時期)
 プリモケーン:中早生 ('Polka' より7~10日遅い)

果実
 色:光沢のある鮮やかな赤色
 大きさと形:極大 (重さ平均5~6g)、広い円錐形、'Tulameen' に似ている
 味と香り:甘酸のバランスの取れた味わい
 硬さ:柔らかい~中。'Polka' より硬い?

Hardiness Zones:不明


2007年交配、2009年選抜。

フランスのトゲなしの二季成り品種。
一番果は10gを超えるらしい。

2012~2013年の試験栽培では Brix値 が 9.2 だった。
比較用の 'Polka' は 8.3。
Eating quality score は 6.5。ちなみに 5 で excellent らしい。どゆこと?

収量や果実品質は全てにおいて 'Polka' を上回る。

以上、Meiosis社の品種紹介より。
まぁ、いいことばかり書いてある。そりゃそうだ。

果実が柔らかいという情報があるのがちょっと気になるところ。

最新品種なので、まだまだ現場のデータがでてこない。
耐病性なども報告がない。
しかしトゲなしで極大果、二季成りで収量も悪くないとなれば、
趣味栽培向けとしても、かなり有望な品種なのではないだろうか。


2020年6月25日木曜日

APF-122 / Mary Carmen® (メアリー カルメン)

ブラックベリー

起源:アーカンソー大学、アーカンソー州、USA ('APF-45' x 'A-2286')

パテント:USPP27401 (2016年登録)、PVP出願中 出願番号 第33289号 (2018年出願) など

草姿:立性、平均1.1m
トゲ:あり、長さ0.9cm、密度3本/cm2

収穫期:二季成り (下はカリフォルニア州の場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:早生 (8月~10月)

果実
 色:光沢のある黒色
 大きさと形:中 ( 長さ2.8cm、幅2.1cm、重さ5.8g )、丸い
 味と香り:高レベルの可溶性固形物を含んでいる、Brix 平均 11.1
 硬さ:非常に硬い (Very Firm)

Hardiness Zones:?


2003年交配、2005年選抜。

アーカンソー大学のジョンクラーク博士が育種したブラックベリー。
果実を冷蔵保管しても赤く戻らない特性を持つ。
また 5℃で 7日間保管後も腐敗はほとんどみられなかった。

プリモケーンは 75cm ぐらいに成長したら花芽が発生して、それ以上の伸びは緩やかになる。
パテント情報では平均 1.1m 程にしかならないそうだ。つまり摘心を必要としない。
しかしフロリケーンの収穫はほとんど期待できないらしい。

果実は、まだ赤から黒へと移行段階から高レベルの可溶性固形物を含んでいる (high soluble solids)。
これは Brix のことだろう。だよね?
ただし酸味が抜けるのは黒くなってからだろう。多分。

面白そうな品種ではあるのだが海外のショップでも見かけることはほとんどない。
残念ながらあまり広まってないようだ。
日本で品種登録が出願されているようなので、もしかしたら日本での販売があるのかもしれない。
いや、ないかなー。'シャーロンズ デライト' あるしなー。


2020年6月24日水曜日

Evita (エビタ)

ラズベリー

起源:Sant'Orsola農業協同組合、イタリア ( ‘Dolomia’ × ‘Erika’)

パテント:EU PBR 43214 (2016年登録)、USPP25695 (2015年登録)
PVP出願中 出願番号 第33105号 (2018年出願) など

草姿:半直立 (semi eretta)、平均1.78m
トゲ:長さ3.5~4mm、密度平均 1.3/cm

収穫期:二季成り (下はイタリア Sant'Orsola の場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:8月下~10月 ('Erika' より7日早い)

果実 (パテント情報)
 色:光沢のある赤みを帯びたオレンジ (Moderate Reddish Orange)
 大きさと形:大 (長さ 2.9cm、幅 2.4cm、重さ 6.61g)、円錐形
 味と香り:味は良好 (Il sapore è buono)、Brix 7.5
 硬さ:硬い

Hardiness Zones:不明 (Sant'Orsola は多分 8 )


2007年交配、2009年選抜、2012年発表。

イタリアのサントルセラ農業協同組合が育種した二季成り品種。
'Amaranta' と違ってアメリカのパテントもとってある。おかげで詳細が解った。
主としてプリモケーン収穫用である。

果実は大きく平均6g以上。・・・ホンマかいな
ただし Brix値は低くパテント情報で 7.5。高い方の資料でも 8.72 である。
日本みたいに糖度は重視していないのだろう。

'Erika' と比べて20%ほど収量が多い。
ケーンあたりの結実側枝は20~25。

灰色カビ病やうどんこ病に強い。


2018年に日本でも品種登録申請がされている品種である。
もしかしたら、日本で苗木が販売されることがあるかもしれない。
大きさはロマンだ。


2020年6月23日火曜日

Amaranta (アマランタ)

ラズベリー

起源:Sant'Orsola農業協同組合、イタリア

パテント:EU PBR 43215 (2016年登録)、PVP出願中 出願番号 第33104号 (2018年出願) など

草姿:半直立 (semi eretta)
トゲ:不明

収穫期:二季成り (下はイタリア Sant'Orsolaの場合)
 フロリケーン:不明
 プリモケーン:不明 ('Erika' より5日早い)

果実
 色:赤色 (rosso medio)
 大きさと形:大 (重さ平均 5.59g)、細長い円錐形
 味と香り:風味抜群 (Il sapore è eccellente)、Brix 9.60
 硬さ:硬い?

Hardiness Zones:不明 (Sant'Orsola は 8? )


2012年発表。

イタリアのサントルセラ農業協同組合が育種した二季成り品種。
植物の構造はシンプルで迅速な収穫を可能にするらしい。素朴さってなんだ?
多分、側枝が少ないとかそういうカンジのものだろう。
そのためか、'Erika' よりも収量は少ないようだ。

イタリア語のざっくりとした説明しか見つからないのでよくわからないところも多い。
しかし果実の大きさとBrix値は悪くない。
風味も抜群らしいし。

2018年に日本でも品種登録申請がされている品種である。
日本で苗木が販売される可能性は・・・あるかなぁ?