2020年5月31日日曜日

Malling Delight (マリング・ディライト)

ラズベリー

起源:不明 (1974年?)

パテント:なし

草姿:1~1.5m?
トゲ:短い

収穫期:二季成り
 フロリケーン:中生 6月
 プリモケーン:晩生 9月~10月

果実
 色:明るい赤色 (light red)
 大きさと形:中~大、長さ/幅の割合は 'Tulameen' と同等
 味と香り:9点中5点
 硬さ:柔らかい (very soft)

Hardiness Zones:不明


かつては最大級の果実サイズだった品種。
ちょっと古すぎてネットでは品種情報が見つけられなかった。多分紙媒体の資料ならあるんだろう。

色々調べてみると、EUの品種の特性を調べる項目の代表として何個か名前が挙がっていた。
これによると果実の硬さが very soft で、果実と果床の外れにくさ (dherence to plug) が強い (strong) 。
訳これであってる?

またデンマークの193品種の特性試験データ (1982) にも記載があった。
デンマーク語はよくわからんけど英訳がついている表もある。
それによると味/風味の評価が 9点中 5点である。
'Indian Summer' と同じで 'Meeker' (6点) より低い。
ただ果実サイズは最大級で、収量も悪くない。1982年当時では。

海外のショップの情報では雨の時期に果実が柔らかくなるとの注意書きがある。
アブラムシ耐性があり、耐病性が高めとの情報もある。


国内で「マリングデュライトレッド」として売られている品種と思われる。新品種らしい。
ショップによると果実サイズは 3g程度 だそうだ。
うーーん、大きいかなーー?
日本で栽培すると品種特性がでないということかもしれない。

追記:日本で売られているのは実生選抜品との情報をいただきました。なるほど新品種。


NR7 / Ruby Beauty® (ルビー ビューティー) / Shortcake® (ショートケーキ)

ラズベリー

起源:ニュージーランドPFR と アメリカNWP の共同育種プログラム (HR101 x 'Willamette')

パテント:USPP22141 (2011年登録)、EU PBR 43219 (2016年登録)、CPBR 4580、
     PVP出願中 出願番号 第30664号 (2015年出願) など

草姿:背が低い(1mを超えない)。節間がとても短い(10~20mm)。
トゲ:なし

収穫期:一季成り (下はワシントン州の場合)
 フロリケーン:6月下~7月下
 プリモケーン:なし

果実
 色:赤色 (medium-light red;)
 大きさと形:中~大 (重さ3~5g、平均4.4g)、卵形
 味と香り:糖度は低い、中程度の風味 (medium raspberry flavor)
 硬さ:適度に柔らかい (moderately soft)

Hardiness Zones:4-9


1997年交配、2001年選抜。

世界初の矮性のラズベリーの品種である。
草丈が1mを超えず、支柱を必要としない。そしてトゲが無い。
鉢植えに最適な品種といえよう。
小さな子供がいても安心だ。

ただし味は、良くも悪くも昔ながらの典型的なラズベリーである。
糖度は低めで、パテント情報でBrix値は通常6~8とされている。
親は加工用品種の 'Willamette' であるからそんなもんだろう。
用途は観賞用とパテント情報に書いてあるし。

ちなみにRBDVに耐性をもつが、ダニの影響を受けやすい。

'NR7' が正式名称で、商標がヨーロッパでは Ruby Beauty®、北米大陸では Shortcake® となっている。
日本でも園芸ネットで「ルビービューティー」として販売があったようだ。

鉢植え、トゲなし、支柱なしで、典型的なラズベリーが採れる。
趣味栽培でジャムなどの加工用には最適ではなかろうか。
また国内販売があれば購入候補に挙がる品種だ。

ただなぁ、うちハダニでるんだよなぁ。。。


2020年5月30日土曜日

Waimate (ワイマテ)

ローガンベリー

起源:ニュージーランド ('Lincoln Logan' x SCRI 74157B3 ('Aurora' x 70162R/36 4X RASP))

パテント:不明

草姿:ほふく性 (2~3m)
トゲ:なし

収穫期:一季成り
 フロリケーン:夏
 プリモケーン:なし

果実
 色:薄暗い赤紫色
 大きさと形:大
 味と香り:素晴らしい香りがする
 硬さ:不明

Hardiness Zones:7-9


1999年リリース?

トゲのないローガンベリーの改良品種。
親の 'Lincoln Logan' はトゲなしローガンベリー。
もう片親の SCRI 74157B3 はタイベリー (ラズベリーとブラックベリーの交配種)。

果実はブラックベリーと同じく収穫時に果床ごと外れる。
味はブラックベリーよりもラズベリーに近いらしい。
白い花を咲かせ、自家結実性。
ほふく性なのでトレリスかフェンスに誘引するといい。
あんどん仕立てでいけるかは、枝の太さによるが不明。多分ムリじゃないかな。

ニュージーランドではローガンベリーなどのハイブリッドベリーの育種が盛んのようだ。
機械収穫に向いた品種も開発されているらしい。

ニュージーランドの公的機関のデータって全然みつからないのだが、とこかに公開されていないだろうか。
誰か知りませんか?

タキイ種苗で 'リサ®ワイマテ' として販売されている (メールで確認済み)。
てっきりローガン判事のローガンベリーのトゲなし個体に適当に名前つけたのかと思ってたんだが、
調べたらちゃんとした改良品種だった。
ごめんねタキイさん。ポチらせてもらうわ。


2020年5月29日金曜日

Double Gold (ダブル ゴールド)

ラズベリー

起源:コーネル大学、ニューヨーク州、USA (NY319 x 'Graton Gold')

パテント:USPP24811 (2014年登録)

草姿:立性、背が高い(2m超)
トゲ:中密度、短いが頑丈

収穫期:二季成り (下はニューヨーク州の場合)
フロリケーン:中生 6月下~7月下
プリモケーン:晩生 9月中~11月上 (霜が降りるまで?)

果実
色:アンバーからオレンジ
大きさと形:中 (長さ1.9cm x 幅1.9cm 重さ2.6g)、広い円錐形
味と香り:風味は素晴らしい (excellent flavor)
硬さ:中くらい (果皮が弱い?)

Hardiness Zones:5-7


2004年選抜、2012年発表。

オレンジ色の果実が特徴の二季成りラズベリー。
色はサイトによってゴールドだのピンクだのシャンパンだの色々な呼ばれ方をしている。
果実の形は非常に安定していて、ラズベリーらしい広い円錐形をしている。
また、冷凍するとピンク色になる。

ニューヨーク州農業試験場 (現Cornell AgriTech) によるとプリモケーンの収量は 'Nantahala' と同等だった。
'Heritage' と比べると1割ほど少ない。
ただし晩生の品種のため霜の降りるタイミングにより変動するだろう。
試験場の所在地はコーネル大学の敷地内にあり、Hardiness Zones は 6 だと思われる。

フロリケーンでの収穫はニューヨーク州で6月下旬からだが、暑さで日焼け (white drupelet)してしまうこともあるらしい。
灰色かび病が少しみられる。

root rotに耐性があるほか、様々な葉の疾病にも耐性があるらしい。

肝心の味に関するデータがあまりなく、excellent flavorと記載があるのみである。


さて、輸入してまで欲しいかとなるとオレンジ色のラズベリーに魅力を感じるかどうかだ。
オレンジ色のラズベリーといえばタキイ種苗の「リサ® オレンジピコ」があるが
メールで確認したところ、
国内実生選抜品種らしくこの品種とは関係がないらしい。
オレンジ色が欲しければ、わざわざ輸入するよりもこちらを手に入れるのがいいかな。
一応日本の品種だし。