2020年8月27日木曜日

Rubus mesogaeus (クロイチゴ)

 キイチゴ属野生種


別名:(黒苺)

自生地:北海道~九州、南千島、台湾、朝鮮半島、中国、ヒマラヤ

草姿:1m前後、直立せず他の植物に寄り掛かる
トゲ:あり、やや下向き、葉軸や葉裏にもある

花:6月上旬(富山)、ピンクの花弁、平開しない、枝先に球状の花序をつくる
果実:8月上旬(富山)、赤色から黒色に熟す、球形、直径1cm



日本のブラックラズベリー。ブラックベリーではなく黒いラズベリー。果床から果実が外れるタイプ。
日本のキイチゴ属で唯一の黒く熟す野生種である。

味は日本のキイチゴ属でトップクラス。風味は強くないがコクのある甘味がある。
残念ながら果実は小さい。1cm程である。

深山に生えるとの記述があり、確かにかなり山奥に行かないと見つからない。
富山県でもほとんど見かけない。内陸性の植物かもしれない。
花はナワシロイチゴによく似ていて、かなり地味なので目立たない。
ベリーが赤か黒に熟していれば目立つのだろうが、真夏に熟すので熟期が短い。すぐにカピカピになってしまう。
探すのがとても大変な種である。
だが分布域そのものは広いので、お住いの近くにもきっとあるはずである。
あまり日当たりがよいところよりも、ちょっと日陰になる場所にある印象がある。
ただし、地域によっては絶滅危惧種に指定されているので採取は控えてほしい (環境省RDB)。

珍しい種でネット通販でも販売しているショップは見たことがない。ヤフオクでたまにでるぐらいか。

私は山の個体からベリーを一粒失敬して実生で育ててみた。
海外のブラックラズベリーと同じで、地下茎は広がらず株元(クラウン)から枝が生えるタイプ。
伸びた枝先が弧を描き地面に着くとそこで根を張って拡がっていくようだ。
枝が比較的細いので直立まではいかず支柱が必要。
夏場は西日は避けたほうがよい。葉焼けしてしまう。寒冷紗がオススメ。
水切れにはとても弱い。要注意である。
自家受粉するかは個体によると思う。念のため2個体以上で育てている。


果実が小さいのが玉に瑕だが、とても美味しいキイチゴである。
育種材料として見てもとてもよいと思うのだがどうだろうか。


育てている個体の写真がなかったので山で見つけた個体の写真を載せておく。
もっと良い画像がネットには沢山あるのでこちらへどうぞ。

山に自生するクロイチゴの花 (ちょっと遅く散り際)

山に自生するクロイチゴの果実 (上とは違う個体。かなり受粉不良)